古都奈良の秋を彩る伝統行事−「鹿の角きり」

撮影 平成23年10月9日


江戸時代初期から受け継がれてきた古都奈良の年中行事

「鹿の角きり」のポスター
■ 今年も古都奈良の秋を彩る勇壮な伝統行事「鹿の角きり」の時期を迎えた。今年は10月8日から10日までの三日間、春日大社境内の鹿苑(ろくおん)角きり場で、連日12:00から15:00まで行われている。

■ 奈良公園に生息する鹿はニホンジカで、角は雄だけに生える。鹿が大切に伸ばした角を切り落とすなんて可哀想と思うかもしれないが、発情期を迎えた雄鹿の角は凶器である。住民に危害を加えたり、鹿同士がお互いに突き合って死傷することがたびたびあった。

■ そうした事故をふせぐため、今からおよそ330年前の寛文11年(1,671)、奈良奉行の要請を受けて、当時の鹿の管理者であった興福寺が「鹿の角きり」を始めたという。明治時代の中頃には、春日大社の参道の所々で角きりが行われていた。今の角きり場は昭和4年に設けられ、年中行事として開催されるようになったとのことだ。

悲しげな表情を浮かべて鳴き声をあげる角鹿
■ 奈良公園に生息する鹿の数は、昨年の7月の時点で総数1,096頭(雄:197頭、雌:713頭、子鹿:186頭)。「角かり」の対象となるのは約50頭の雄鹿。その他の角鹿は、角が完成する8月中旬から翌年の3月下旬頃までに1頭ずつ捕獲し、角を切っているとのことだ。

■ ニホンジカの雄には、春になると短い毛が密集している表皮につつまれた柔らかい「袋角」が生える。袋角は、夏ごろまでは急速に枝を増やしながらのびていく。やがて根本から、カルシウムなどが沈殿しはじめ、血流が止まると、全体が骨化、表皮が乾いてはげおち、硬い角が現れる。硬くなった角は、人間の爪と同じで切り落とされても痛くないようだ。

■ 角の枝の本数は年齢によって変わる。最多で3又4先(枝が4本)で、角全体の大きさは、壮年期(8歳から12歳ごろ)に最も大きくなる。角は切り落としても、次の年の早春の頃には、次の新しい袋角が成長してくる。

入場券
■ もう10年近く橿原にかよって来ているが、今までこの伝統行事を見学したことがない。本日は三連休の中日で好天恵まれたため、後学のために一度見ておきたいと、奈良まで出かけた。角きり行事は約30分間隔で繰り返される。第1回目の行事を見るために、春日神社の参道にならんだ。




●第一回目の行事の開場は11時半。参道に入場を待つ長蛇の列ができていた ●長時間並ばされて、やっと鹿苑角きり場の入口に到着

●ドーム場の角きり場は見物人で一杯になる ●正午ちょうどに始められた安全祈願祭。勢子や見物人が頭を垂れ、特設の祭場で神主が祝詞を読む

●安全祈願祭が終わると、角鹿が角きり場に導き入れられる ●1回30分ほどの角きり行事で対象にされるのは、3頭の角鹿

●多くの見物客に驚き興奮して疾走する角鹿 ●はちまきに、はっぴ姿の勢子(せこ)登場

●勢子は円周状に並んでリングを作り角鹿を走らす ●走ってきた鹿に「十字」(割竹を組み、縄を巻き付けた捕獲具)や、「だんぴ」(竹を輪に組み、縄を編んだ捕獲具)などを使って、鹿の角に縄をかける

●角に縄をかけられた鹿は猛烈な勢いで逃げ回る ●縄の一端をポールに巻き付け、数人の勢子がたぐり寄せる

●縄がたぐり寄せられ、角鹿はついにポールくくりつけられる ●他の角鹿が近づかないように角きり場を幕で仕切る

●取り押さえた鹿を近くにゴザと枕が置かれた場所へ運ぶ ●鹿は逃れようと必死に身をもがく

●ゴザの上に横たえられると、烏帽子、直垂姿の神官が登場する ●神官は鹿の気を静めるため水を含ませ、のこぎりで一方の角を切りおとす

●もう一方の角も切り落とす ●神官が切り取った角はを高々と見物人に示す。この後、角は神前に供えられる

●角を切られた鹿は、奈良公園に戻される。 ●勢子は次の角鹿の捕獲にとりかかる




2011/10/097作成 by pancho_de_ohsei

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