2009/01/24

古都奈良に早春を告げる炎の祭典・若草山焼き

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 本日の日本列島は冷え込んだ。奈良県の最低気温はマイナス2度、日中でも最高気温は7度の予報だった。しかし、本日は予定通り若草山の山焼きが午後6時から挙行されるという。この山焼きは古都奈良に早春を告げる行事として知られている。

 紅蓮の炎に山腹が包まれる様子を間近で見て見たいと思って、午後から奈良へ出かけてきた。午後3時過ぎには、小雪が舞い散る寒さだったので、カイロを背中に貼ってでかけた。奈良に着くころは雪雲が消え去り、雲の間から差し込む夕日を受けて若草山が輝いて見えた。

 若草山焼き行事の起源には諸説があるようだ。山頂には鶯塚古墳があり、その被葬者の霊魂を供養する行事だったとも、三社寺(春日大社・興福寺・東大寺)のこの一帯をめぐる領地争いが起源だとも、あるいは年内もしくは翌年の1月頃までに若草山を焼かなければ、翌年に何か不祥事件が起こるとも言われてきた。

 その起源は何であろうと、今や若草山焼きは新春を彩る勇壮な炎の祭典であり、古都奈良の観光行事の一つとなっている。本日は聖火行列が出発するところから付き合った。その様子を以下で紹介しよう。いずれの写真もマウスでクリックすれば拡大表示できる。山焼きの壮観さをパソコンの画面上で味わってください。

午後4時、山焼き2時間前の若草山

 標高342mの若草山は奈良市内のどこからでも眺められるようだ。奈良県庁前の登大路から見上げたときも、新公会堂の庭から見上げたときも、全山が枯れた芝生で覆われたなだらかな山肌が夕日を受けてまぶしい。2時間後には炎に包まれるとはとても思えない、穏やかな姿を見せていた。

登大路から見た若草山 新公会堂前から見た若草山

午後4時45分、奈良公園シルクロード交流館を出る聖火行列

 奈良公園シルクロード交流館の玄関先に、東大寺、興福寺、春日大社の三つの提灯が並んだ。俗説で、若草山一帯の領地をめぐって争ったとされる三社寺を象徴する提灯だ。まもなく、玄関に若草山焼きに関係があった奈良奉行署の役人を加えて、総勢約30名の聖火行列が並んだ。午後4時45分、聖火行列は雅楽道楽、僧兵、奈良奉行所役人、東大寺、興福寺、春日大社の提灯の順に、シルクロード交流館を出発した。

三社寺の提灯 シルクロード交流館を出る聖火行列

新公会堂の前から車道を水谷橋に向かう聖火行列

 聖火行列は新公会堂の前を進み、公会堂脇の車道を東に向かって進んだ。行く先は水谷橋(みずやばし)と水谷茶屋の間にある河畔である。

新公会堂の前を行く聖火行列 自動車の往来を規制して車道を進む聖火行列

午後5時、水屋(みずや)橋の近くで松明点火

 午後5時に、聖火行列は水屋橋の少し上の吉城川の畔に到着。そこには、すでに井形に組んだ木枠が用意されている。春日大社の神官が春日大社の聖火をその井形に移し、10名の奈良法師が聖火をかがり火に点火する。

点火された聖火 聖火をかがり火に移す

点火した松明を掲げて野上神社に向かう

 聖火行列は点火されたかがり火を掲げて土産物屋が並ぶ石段の坂道を上り、若草山に到着した。さらに、群衆をかき分けて山腹にある野上神社に向かう。

石段を踏んで若草山に向かう聖火 若草山の山腹を野上神社に向かう

午後5時20分、野上神社で山焼き祭典が始まる

 野上神社は小さな祠が建つ神社である。到着した聖火行列は、野上神社のかがり火に点火した後、春日大社の神官によって山焼きの無事終了を祈願する祭典を行なわれる。

 若草山の山腹に参集してきた見学者たち

 野上神社で「山焼き祭典」が行われている頃をみはらかって、山焼きの見学者たちが山腹を登ってくる。茜色に染まった西の空の下では、夜のとばりが落ち始め、市街地の明かりが少しずつ輝きを増してきた。

山腹に集まりだした見学者の群れ 若草山から見た茜色に染まる西の空

 山焼き祭典が終わって、大かがり火に点火

 若草山の山麓中央には、大かがり火が設けられている。野上神社で30分近い祭典が終了すると、奈良法師たちはそれぞれかがり火を手に山腹を登ってくる。そしてかがり火から松明に火を移し、大かがり火に点火した。

かがり火を手に山腹の登ってくる奈良法師 大かがり火に点火

 午後5時50分、花火打ち上げ

 大かがり火の点火を待ちわびたように、若草山一重目から花火が盛大に打ち上げられた。夜空に大輪の花が開く度に、見学者の間からおおきなどよめきが起きた。

 午後6時、山焼き点火

 花火が打ち上げられている間に、奈良市消防団が大かがり火から松明に火を移し、若草山正面に火を運んだ。そして,午後6時の号砲とともに、若草山各所で一斉に点火した。この点火には、約300人の消防団員が関わっているという。彼らの手で、約33ヘクタール、周囲3,800mの草地に一斉に点火されたことになる。炎の輪が次第に山頂に向かって伸びていく。まさに、新春を彩る勇壮な炎の祭典だった。



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