正暦寺の紅葉は今が見頃と聞いて出かけてきたが・・・
■ 奈良市菩提山町にある菩提山(ぼだいせん)真言宗の正暦寺(しょうりゃくじ)は、奈良県内でも一、二を争う紅葉の名所として知られている。円照寺や奈良万葉CCの近くにあるが、人里離れた菩提仙川の上流に位置するため、渓谷を深く分け入らなければならない。
■ 菩提仙川に沿って渓谷をさかのぼる道は、対向車がすれ違えないほど狭い。そのため、奈良交通も近くまでバスを運行していない。最寄りの「柳茶屋」バス停からでも徒歩で30分はかかる上に、「柳茶屋」を通る路線バスも一日数本程度しか運行していない。
■ そんなわけで紅葉のシーズンに訪れる観光客のほとんどは、観光バスかマイカー利用者である。ただ、シーズン期間中の週末は奈良交通もJR/近鉄奈良駅から臨時直行バスを運行してくれる。数年前、そのバスを利用して訪れたが、正暦寺に到達するまでの交通渋滞には驚かされた。
■ 前回訪れたとき、紅葉の鮮やかさに感動した。もう一度、あの美しさに接してみたいと思っていたら、昨晩の奈良TVは正暦寺の紅葉も見頃を迎えたと伝えていた。今週末は三連休で大混雑が予想される。それならと言うわけで、突然思い立って本日出かけてきた。
■ 残念ながら、正暦寺の今年のモミジは期待していたほど鮮やかではなかった。どうやら秋口に暖かい日が続いたせいらしい。色づく前に枯れて落葉してしまったようだ。銀杏の木も一本あったが、根本は落葉した緑の葉が敷き詰めていた。昨日からは第一級の寒波の到来で、日本列島は震え上がっている。何かが変だ。
■ 例によって、デジカメで撮影した正暦寺の紅葉を以下に紹介しよう。写真をマウスでクリックすれば拡大表示できる。
菩提仙川の両岸や正暦寺の境内を彩る色とりどりの紅葉
菩提仙川の両岸はモミジだけでなく南天の実も赤く彩る
色づいた紅葉を借景に福寿院の庭園も美しい
■ 正暦寺縁起によれば、この寺の創建は正暦3年(992)までさかのぼる。永柞元年(989)に一条天皇が春日大社に行幸され、菩提山の地に寺院を建立することを発願されたという。天皇の勅命を受けて、藤原兼家の子の兼俊僧正が翌年から伽藍の造営を開始し、正暦3年に完成した。山号を菩提山、院号を龍華樹院、寺号を正暦寺とし、兼俊が初代別当になった。
■ 治承4年(1180)の平重衝(しげひら)の南都焼き討ちの際、その類焼を受けて全山が全焼し、一時は廃墟と化した。そののち建保6年(1218)に興福寺の信円僧正によって、法相宗の学問所として再興された。
■ その後は他の多くの寺院と同様に栄枯盛衰を繰り返したが、明治の廃仏毀釈で徹底的な打撃を受けた。多くの堂塔を失い、福寿院と本堂・鐘楼を残すだけになってしまった。現在の福寿院客殿は延宝9年(1681)に建てられた数寄屋風の建物で、狩野永納(えいのう)の描いた襖絵や欄間の絵を今に伝え、国の重要文化財に指定されている。
■ 福寿院客殿の縁側から見る庭園は、紅葉を借景に実に艶やかな雰囲気を醸し出している。緋毛氈に座って庭を眺めていると、心の底まで洗われるような気がする。
2008/11/13作成 by pancho_de_ohsei
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