2007/09/05

吉野郡川上村の不動窟鍾乳洞


 9月に入っても、気が狂いそうな猛暑が連日続いている。そんな中、またしても知人のA君から避暑に行こうとの誘いを受けた。今度は吉野郡川上村にある不動窟鍾乳洞。奈良県が昭和57年(1982)3月に指定した文化財であり天然記念物でもある。

不動窟鍾乳洞
 不動窟鍾乳洞は、吉野川左岸に築かれた国道169号線を吉野宮滝方面から車を走らせると、大迫ダムのすこし下流に位置している。この付近の地層は今から約2億年前の中生代三畳紀(トリアス紀)に形成されたもので、鍾乳洞はサンゴなどで作られた石灰岩が雨水の中の二酸化炭素で溶かされて出来たものだそうだ。

 不動窟は4つの窟から形成されている。入口から10mほど地底におりていくと、高さ10m、幅5mほどの第1窟がある。周囲の壁は石灰石だが、鍾乳石などは見あたらない。そこから、洞穴を下ると、天の窟、地の窟と名付けられた高さ約8m、幅4〜5mの第2窟がある。

 右折して、狭い洞穴を抜けると、大天井、小天井がある第3窟に出る。高さは20m以上、南北方向の広さは10mほどだが、東西方向は50mと長い。この第3窟の左側を幅2mほどの急流が滝のように流れ下っている(不動の滝)。西側の石灰塊岩上には不動尊が安置してある。

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第3窟の中を流れ落ちる不動の滝
   水の流れに沿って下ると、三途の川とか胎内潜りと名付けられた狭い通路を抜けて、「オクの院広場」と呼ばれる第4窟に達する。高さ約12m、広さ約10平米ほどの大ホールである。周りの壁に不完全な石筍や幕状の鍾乳石などいろいろな石灰沈殿物が見られる。

 洞穴内の気温は年間を通して摂氏11度。中に入ると眼鏡のレンズが曇る。しかし、この鍾乳洞は先日訪れた洞川の面不動鍾乳洞と違って、どんどん地底に向かって下りていく。途中には、身をよじらなければ通れない隘路が何カ所もあって、今地震の揺れに襲われたらとか、今照明の灯りが消されたらと思うだけで、背筋に恐怖が走る。その恐怖心のほうが外気よりもはるかに冷気を感じさせてくれる。  


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  国道169号線沿いに立てられた不動窟の表示   国道脇の入場券販売所も兼ねた喫茶「ホラ!! あな」

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  喫茶「ホラ!! あな」から140段の階段を伝って不洞窟入口に向かって降りていくと、国道の橋脚の下を吉野川の清流が流れている。   階段の下の踊り場の隅に祀られた不動尊。不洞窟は今から1300年前に修験道の開祖・役行者(えんのぎょうhs)によって発見されたとする言い伝えが地元に伝わっている。

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  不動尊堂の左手に祀られた不動尊と仏像   不洞窟の入口。頭上注意の表示があるように、入口付近の洞穴は天井が低い。

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  第1窟に祀られた役行者   地の底に続くかと思われる石の階段

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  石段を下りたところにある「天の窟」と呼ばれる第2窟   第2窟から身をよじるようにして狭い通路を抜けると、不動の滝が流れる広い第3窟にでる。

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  第3窟に祀られた不動尊   小天井と名付けられた第3窟の洞穴

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  三途の川から胎内潜りへと続く狭い洞穴。不動の滝から流れ下った水流は、三途の川となって無情の橋と名付けられた鉄板下を流れて何処かに消える。その行き先はまだ確認できていない。   胎内潜りの狭く暗い洞穴を抜けると「オクの院広場」と呼ばれる第4窟に出る。実は、無情の橋の近くにある照明が消えていて、最初はそこから先へ進めなかった。戻って、喫茶店で事情を説明すると、女性店員が懐中電灯を持って案内してくれた。

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  「オクの院広場」には薄暗い電灯が点いていた。しかし、暗くて内部がよく分からない。彼女の懐中電灯の明かりがようやく「五色の雲」や「薬師如来」「せいたかどうじ」などの石筍や幕状の鍾乳石を照らしだし、自然が作りだした造形を見ることができた。   不動の滝を流れる水は、「不動水」として名水百選にも選ばれている。A君は抜け目なく車のトランクにポリ容器を3個も積んできていて、さっそく名水をくみ始めた。この水でご飯を炊くと美味しいそうだ。避暑というのは口実で、A君の本当の目的は名水をゲットすることだったのかもしれない。


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