2007/08/22

洞川温泉(どろがわおんせん)面不動鍾乳洞(めんふどうしょうにゅうどう)




 連日35度を超す猛暑に辟易していたところ、知人のAからドライブの誘いを受けた。日帰りで避暑に行くが、付き合うか、という。近くに避暑地があるなどと聞いたことがない。何処か?とたずねると、行けば分かるとトボケタ返事を返した。

 彼の車が向かった先は、吉野郡の天川村。4年ほど前、日本三辨天の一つとして崇められる天河神社(てんかわじんじゃ)を訪れたことがある。天川村には洞川(どろがわ)温泉もあり、日本名水百選に選ばれた”ごろごろ水”も湧いている。

面不動鍾乳洞付近の地図
面不動鍾乳洞付近の地図
 そこまで思い出したとき、やっとA君の意図が見えてきた。「ごろごろ水」を取水して、ついでに近くの五代松(ごよまつ)鐘乳洞を見学しようということらしい。

 「ごろごろ水」とは変わったネーミングだが、五代松鐘乳洞の地下から勢いよく湧き出る水の音が、洞穴の壁面などに反響してゴロゴロと響くので、その名が付けられたようだ。地中にしみこんだ雨水が、カルスト地層によって濾過されて弱アルカリ性の「還元水」になっている。そのため長く保存しても腐らない。A君によれば、この水でコーヒーを湧かすと格別にうまいそうだ。

 ところが、本日は水曜日で、五代松鐘乳洞は定休日になっていて、洞内は見学できないことを取水場まで来て初めて知った。がっかりと肩を落とすAに、取水場の管理人が別の鍾乳洞を教えてくれた。洞川温泉の入口近くにある面不動鍾乳洞なら、本日も見学できるとのことだ。Aの表情に喜色が戻り、洞川温泉バス停近くの駐車場まで車を戻した。

 カルスト地形の洞川には洞穴が多く、そのうち五代松鍾乳洞、面不動鍾乳洞、蝙蝠(こうもり)の窟、蟷螂(とうろう)の窟の4つが観光鍾乳洞になっている。そのうち、五代松鍾乳洞と面不動鍾乳洞は奈良県の天然記念物の指定を受けている。

 洞川の町を見渡す海抜870mの高台に位置する面不動鍾乳洞は、近畿最大の鍾乳洞と言われているが、総延長は150mほどしかなく、秋芳洞や龍泉洞のような壮大さはない。だが、ドーム状の空間に巨大な岩盤が幾重にも重なりあい地底への入口のようになっている。岩盤と岩盤の隙間には、つららのように垂れ下がる鍾乳石やタケノコのように下から伸びる石筍(せきじゅん)が、見事な自然美を造り出している。洞内の温度は年中8度に保たれていて、一時的に暑さをしのぐにはもってこいのスポットだ。




のつづら折れの坂道 不動明王
 駐車場から鍾乳洞の入口までは、およそ300mのつづら折れの坂道が続く。約10分の道のりだ。モノレールによる登攀も可能だが、あいにくと本日は運転手が休みで運行していない。  坂道を登り切った脇に祀られている不動明王。ちなみに面不動とは、大峰山山頂の不動明王と相対していることから名付けられたそうだ。

橋本広吉翁の碑 店の前の展望台から
の景観
 橋本広吉翁の碑。地元の橋本翁は昭和6年にこの洞穴を発見、以来自分の手一つで掘り始め、土石は肩に担い洞の外に運びだした。幾多の困難を乗り越えて黙々と掘り続け、ついに面不動鍾乳洞として世に出した。  坂道を登り切った展望台からの景観。眼下に洞川の温泉町が一望でき、遠くには山上ヶ岳登山コースや大峰奥駆道の峰峰を連ねた尾根が立ちふさがっている。

茶屋「ももか亭」 鍾乳洞の案内図
 鍾乳洞入口の下にある茶屋「ももか亭」。「ももか亭」は入場券の発売所も兼ねている。  茶屋の壁に貼られた面不動鍾乳洞の案内図。案内図からわかるように、この鍾乳洞は14の窟から成り立っている。

鍾乳洞の入口 天の花園
 鍾乳洞の入口。地底に続く階段をはい上がるように、洞穴の中から冷気が立ち上がってくる。洞穴の中に入ると、汗ばんだ肌から急に汗が引いて肌寒いほどの温度差を感じる。  最初の洞窟は「天の花園」。つららのように岩盤から垂れ下がる鍾乳石がライトアップされて神秘的。鍾乳石は1センチ成長するのに100年かかるという。気の遠くなるような歳月を経て、これらの鍾乳石は今ここにある。

獅子の窟 ああああ
 次の窟は「獅子の窟」。天井からぶら下がる鍾乳石と地上からタケノコのように伸びた石筍に当てられた緑の光が、地上では見られない美の世界を演出してくれている。  「権現の窟」。命名の由来はわからないが、天井からぶら下がる無数の小さな鍾乳石は見事。

ああああ ああああ
「羅漢窟」。窟に付けられた名前を読んで、ネット越に洞穴の中を覗くと、岩盤の上に点々とする石筍が、まるで座り込んている多くの羅漢の像に見えてくるから不思議だ。  「羅漢窟」の奥は深く、緑のライトを浴びて一種幽玄な雰囲気を醸し出している。その先の洞内からは、千年以上たったニホンザル、テン、カワウソなどの骨が発見されている。

「金糸の窟」 「銀糸の窟」
 「金糸の窟」 通路の左右には金糸の窟と銀糸の窟が向かい合っている。これらの窟の細い鍾乳石は他では見られないという。  「銀糸の窟」 金糸・銀糸の窟の鍾乳石は中が空洞になっていて、別名をストロー鍾乳管という。全国的にも貴重な存在だそうだ。




return