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連日35度を超す猛暑に辟易していたところ、知人のAからドライブの誘いを受けた。日帰りで避暑に行くが、付き合うか、という。近くに避暑地があるなどと聞いたことがない。何処か?とたずねると、行けば分かるとトボケタ返事を返した。
彼の車が向かった先は、吉野郡の天川村。4年ほど前、日本三辨天の一つとして崇められる天河神社(てんかわじんじゃ)を訪れたことがある。天川村には洞川(どろがわ)温泉もあり、日本名水百選に選ばれた”ごろごろ水”も湧いている。
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| 面不動鍾乳洞付近の地図 |
そこまで思い出したとき、やっとA君の意図が見えてきた。「ごろごろ水」を取水して、ついでに近くの五代松(ごよまつ)鐘乳洞を見学しようということらしい。
「ごろごろ水」とは変わったネーミングだが、五代松鐘乳洞の地下から勢いよく湧き出る水の音が、洞穴の壁面などに反響してゴロゴロと響くので、その名が付けられたようだ。地中にしみこんだ雨水が、カルスト地層によって濾過されて弱アルカリ性の「還元水」になっている。そのため長く保存しても腐らない。A君によれば、この水でコーヒーを湧かすと格別にうまいそうだ。
ところが、本日は水曜日で、五代松鐘乳洞は定休日になっていて、洞内は見学できないことを取水場まで来て初めて知った。がっかりと肩を落とすAに、取水場の管理人が別の鍾乳洞を教えてくれた。洞川温泉の入口近くにある面不動鍾乳洞なら、本日も見学できるとのことだ。Aの表情に喜色が戻り、洞川温泉バス停近くの駐車場まで車を戻した。
カルスト地形の洞川には洞穴が多く、そのうち五代松鍾乳洞、面不動鍾乳洞、蝙蝠(こうもり)の窟、蟷螂(とうろう)の窟の4つが観光鍾乳洞になっている。そのうち、五代松鍾乳洞と面不動鍾乳洞は奈良県の天然記念物の指定を受けている。
洞川の町を見渡す海抜870mの高台に位置する面不動鍾乳洞は、近畿最大の鍾乳洞と言われているが、総延長は150mほどしかなく、秋芳洞や龍泉洞のような壮大さはない。だが、ドーム状の空間に巨大な岩盤が幾重にも重なりあい地底への入口のようになっている。岩盤と岩盤の隙間には、つららのように垂れ下がる鍾乳石やタケノコのように下から伸びる石筍(せきじゅん)が、見事な自然美を造り出している。洞内の温度は年中8度に保たれていて、一時的に暑さをしのぐにはもってこいのスポットだ。
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