平成15年2月2日

飛鳥坐神社の”おんだ祭”を見学する


飛鳥坐神社
飛鳥坐神社

  2月の第一日曜日は、明日香に春を呼ぶ「おんだ祭」が飛鳥坐(あすかにいます)神社で行われる。おんだ祭りとは、俗にいう御田植(おたうえ)祭りのことだ。この種の祭りは各地にあるが、飛鳥坐神社で行われる「おんだ祭り」は、西日本三代奇祭といわれ、早春の性神事として有名である。










魔よけの尻たたき

尻たたき
尻たたき

  どんよりとした雪雲が、西の葛城・金剛山系からゆっくりせり出し、明日香村の空を覆っている。時折、小雪が舞い散る寒い日だったが、昼食をすませて明日香村に出向くことにした。飛鳥の集落の中を神社に続く道が賑わっている。天狗(てんぐ)と翁(おきな)の面をつけた男が、手にササラ(青竹の先を細かくわったもの)を持って立ちはだかっている。そして、子供や大人を見ると、かたっぱしから追いかけて尻をたたくのだ。実は、この尻たたきには「悪魔よけ」の意味があるらしい。尻を叩かれた人は、身体についた厄が落とされ、この騒ぎが大きければ大きいほど豊作を呼ぶという。普段はほとんど参詣者がいない神社の参道も、今日ばかりは屋台が並び、祭りの賑わいを見せている。





  


和太鼓の奉納

 
奉納太鼓
奉納太鼓
急な石の階段を上って本殿前の広場にたどり着くと、すでに大勢の参拝者が能舞台の前で人垣を作っていて、立錐の余地もない詰め状態である。能舞台では、13:30からの飛鳥太鼓の奉納がすでに始まっていて、7人ほどの村の若者が勇壮な姿で和太鼓を叩いている。そのリズミカルな響きは、まことにこころに気持ちよい。本殿まで登って、人垣の後ろからしばらく彼らの演奏を聞き入る。デジカメで写真を撮ろうとするが、人影が邪魔になってうまくいかない。







 

御田植神事

  和太鼓の奉納が終わるといよいよ神事が始まる。神主たちによる祝詞や玉ぐし奉納などの儀式が、能舞台で厳粛に行われる。社殿に向けて五穀が奉納されると、先ほどまで村中で尻をたたきまくっていた翁と天狗、そして牛が舞台の上に登場してきた。三人は、田おこしから田植えまでの過程を演じる。御田植祭りと言われる所以である。しかし、初めはまじめに演じられていた農耕所作が、だんだん雰囲気が怪しくなってきて、そのうち、演技者が壇上から降りて客の間に乱入したりして、観客の笑いを誘う。
玉ぐし奉納 御田植祭り
玉ぐし奉納 御田植祭り


いけばな翠華流の献花式

 
奉納太鼓
献花
今年は特別なプログラムが用意されていたようだ。御田植祭りの後に、いけばな翠華流の献花式が行われた。家元が和服姿の弟子を10人ほど従えて舞台に登場すると、まるで茶道を見ているような優雅なしぐさと立ち振る舞いで、献花を生けていく。集団で生け花を生けるにもそれぞれに役割分担があるのを、初めて知った。参拝客の前で生けられた献花は一本だけであるが、事前にもう一本用意されていて、二本が神官に渡される。すると、神官はそれを祭壇に飾って、儀式に則って深く本殿に向かって叩頭する。








クライマックス

  献花が終わると、期待に胸を膨らませる観客の前に再び翁と天狗が現れる、天狗はお多福を伴っている。お多福の面をかぶっているのはもちろん男衆だが、シナをつくった歩き方はなんとも艶っぽい。天狗とお多福は翁を仲介人として、舞台で結婚の儀式を行う。二人はご飯をてんこ盛りに盛った椀(「鼻つき飯」と呼ぶ)を神主の前にうやうやしく差し出す。

  そのあと、天狗が思わぬ行動に出る。懐からやおら大きな竹筒を取り出して、それを股間にあてがって、竹ちんぽよろしく神主の鼻先や観客の前に突きつけ、ぐりんぐりんと回しはじめる。そして鼻つき飯に竹ちんぽの先から汁をかける所作をする。これを「汁かけ」といい、めでたい席で酒を振舞う所作と陽根をアピールする所作がミックスしたパフォーマンスらしい。

  その後、お多福が仰向けに寝ると素早く天狗がその上に乗りかかり「種付け」をおこなう。「種付け」が終わると二人はやおら立ち上がって懐中から紙を取り出し、股間をふいてその紙を観衆に散布する。この「ふくの紙」を使用すると子宝に恵まれるという。

奉納太鼓 奉納太鼓
種付け 福の紙


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